任意整理を依頼した時の手続きの流れと期間
任意整理を行う際にある程度の手続きの流れを知っておく事で、よりスムーズに手続きができます。 任意整理をするという事は、返済に追われ困っている事も多いでしょう。 なるべく早く手続きを行いところです。また任意整理をしたからといって、すぐに借金が減るわけではありません。 ある程度の期間が掛かってしまうので、それを見据えた計画を立てる必要があります。今回は任意整理の手続きの流れなどを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理が適している
任意整理は一般的に弁護士などの専門家が債権者と借金の減額交渉を行い、月々の返済金額を無理の無い範囲に抑えた上で、原則3年間で完済する手続きになります。 裁判所を介さずに行うため比較的簡単に手続きを取ることができ、周囲に知られる心配が少ない債務整理です。 また、交渉の対象とする債権者を選ぶ事が出来るので保証人や車などのローンに配慮した選択が可能です。 但し任意整理は利息のカットは出来ますが元本の減額は困難である為、他の債務整理の手段に比べて借金の減額幅が小さくなります。 任意交渉で和解を目指すので債権者の同意が得られない場合は、交渉が難航する事も考えられます。 債務整理する際に任意整理がオススメな人は「借金が比較的小額な人」や「住宅、車などのローンを保持したまま借金問題を解決したい人」「周囲に心配をかけず出来るだけ自力で解決したい人」などです。
任意整理の手続きの流れとかかる期間を知る
STEP1, 面談・相談
任意整理をしたいと考える場合、最初の流れとして弁護士などに相談をすることから始まります。 電話やメールでの相談方法もありますが、実際に事務所を訪問して相談した方が、雰囲気や人となりが分かりやすいです。 債務整理の法律相談は、借金問題を解決したいと思っている方が利用しやすいように、多くの事務所が面談・相談を無料で行っています。 この時に返済計画を立てるために、借金の利用状況が分かるものや収入が記載されているものがあると話をスムーズに進められます。
STEP2, 委任契約
任意整理を相談した結果、依頼することが決まった場合は弁護士と委任契約を結ぶ流れになります。 委任契約では債権者の何社を整理するのか、その際にかかる弁護士費用・支払い方法などが詳しく書かれています。 トラブルを回避するために、委任事項の内容や契約を解除できるケースなどをしっかりと確認し、疑問点は質問をしておきましょう。
STEP3, 受任通知の送付、債権調査
委任契約を結んだら、任意整理に向けて弁護士が動き出します。 まず最初の流れとして、債権者へ弁護士事務所から受任通知が送られます。 これは債権者に債務整理を引き受けたことを通知するもので、通知後は連絡窓口が弁護士に切り替わることになります。 受任通知が送付された後は、債権者は法律的に催促の通知や取り立てなどを一切行うことができなくなります。 手続きが終わるまでは返済もストップするので負担を減らせます。
STEP4, 取引履歴の開示請求
任意整理で受任通知を送った次の流れは、取引履歴の開示請求です。 これは任意整理をする際に必ず行うものです。 弁護士が債権者に受任通知を送る時に併せて請求されます。 取引履歴とは、いついくら借り入れをして、いついくら返済を行い借金の残高がどのくらい残っているのか、表形式の文書として記載されたものです。 受任通知を送ったすべての債権者から、後日弁護士宛てに送付されます。 この時内容に間違いがないかを弁護士から確認されることがあります。
STEP5, 引き直し計算
任意整理では弁護士が債権者から取引履歴を取り寄せた後は、引き直し計算をする流れになります。 引き直し計算とは、利息制限法により基づいて借金の残高を計算し直すことを言います。 取引履歴を取り寄せると借金がいくら残っているか、過払いになっている場合はどのくらい過払い金が戻ってくるかを正確に見直すことができます。 引き直し計算を行い正しい債務額を把握することで、返済計画の方針を決めることができます。
STEP6, 和解交渉開始
任意整理の流れで引き直し計算をした場合に借金が残る時は、3年間で毎月に分割する返済額を出して依頼者に返済が可能かどうかの確認がされます。 無理のない返済プランで依頼者の了解を得れば、その後分割支払いによる和解案の作成が行われ、作成・送付した和解案をもとに実際に利息の免除と長期分割による支払いの交渉に入ります。 ただ債権者によっては交渉に全く応じないところもあり、難航することで時間が長引くことも少なくありません。
STEP7, 和解成立
返済計画の提案を交渉した後の流れとして、債権者が今後の返済条件に合意すれば和解が成立します。 弁護士は、毎月いくらずつ何日までに支払うなどの支払い方法や債務の総額などを記載した和解契約書を作成し、債権者に送付します。 口頭でも任意整理を終わらせたことになりますが、後でトラブルにならないためにも必ず文書として残しておくことになります。 任意整理の相談をしてから和解が成立するまでのおおよその期間は3か月から6カ月程度で、債権者の合意のタイミングで多少のズレがあります。
STEP8, 債務の支払い開始
任意整理で和解契約の手続きが締結した後は、返済計画通りに借金の返済が始まる流れになります。 それと同時に弁護士への報酬を支払わなければいけませんが、一般的に弁護士費用の支払いが終わった後に借金の返済が始まるケースが多いです。 ただ一緒に支払いが始まることもあるので、返済が始まる前に弁護士に確認する必要があります。 債権者への支払い方法も通常は借主が行いますが、弁護士を代理人として債権者へ支払っていく方法もあります。
任意整理の手続き期間の気をつけたいこと
着手金の支払いが終わらないと交渉に入らないケースがある
通常、弁護士や司法書士などの専門家へ任意整理の依頼をすると、事務所から債権者へ受任通知が送付され、貸金業者からの請求や取り立てがすべてストップします。 債権者との和解が成立するまでの間は一時的に借金の返済をする必要がなくなるので、この期間に月々の返済に充てていたお金を専門家費用へまわし、着手金を分割払いで支払うことが一般的です。 しかし、この着手金の支払いが終わらないと、実際の和解の交渉に入らない事務所も存在します。 その場合、分割払いで着手金を支払い終えるまでの数ヶ月間、任意整理の交渉自体は放置され、債権者は債務者に返済の請求をすることもできません。 こういったケースでは、我慢ができなくなった債権者から訴訟を提起される可能性もあります。 そのため、支払いスケジュールを専門家とよく確認し、債権者を待たせすぎないよう注意する必要があります。
任意整理の交渉期間中は待つだけ
任意整理の交渉期間中は、弁護士や司法書士が本人の代理としてすべての手続きを行います。 そのため、和解交渉が成立するまで債務者本人がすることは何もなく、専門家からの連絡を待つのみとなります。 交渉成立まで3ヶ月〜6ヶ月ほどかかることが一般的です。 交渉が成立するまでの間は進捗状況などを含め、専門家から全く連絡がこないことも珍しくありません。 債権者が借金減額に応じてくれず交渉が長引いていたり、債権者の対応が良くなく交渉が進んでいなかったり、はたまた問題なく順調に交渉が進んでいるため特段連絡をしないなど、その理由は様々です。 一体どうなっているのか、どこまで話が進んでいるのか心配な場合は、自分から専門家に連絡して確認をすることが大切です。
任意整理後の返済期間
任意整理後の返済期間は基本的には3年
任意整理をした場合、返済期間の目安は基本的には3年になります。 任意整理の場合には、弁護士や司法書士と相手先の金融機関との交渉による合意で返済期間が決まります。 債権者側も将来的な利息をかけずに返済期間を延長するというデメリットを了承してくれるわけです。 もともと契約の時点では支払いが可能であることを当然の前提として契約をしたわけですから、残金、返済状況などを総合的に勘案して合意することになります。 相手先金融機関の信用を損ねることがない程度の延滞状況でなければ合意が難しくなります。
最長5年まで返済期間を延ばすことができることもある
任意整理では弁護士や司法書士の交渉能力次第で、最長5年まで返済期間を延ばすことができる場合もあります。 民事再生の返済期間が3年ですので、それよりも軽い任意制度で返済期間が長くなるのは合理的ではないという考え方があります。 そのため債務整理の返済期間は3年が基本となっています。 ですが、債権者が合意してくれれば長期の返済期間が可能になるのが任意整理のメリットでもあります。 任意整理は返済のめどがあり、返済能力があり、相手方金融機関が納得してくれなければなりませんので、急な出費があった、急病で働けないといった合理的な理由が必要になります。 支払い実績に問題がなく、交渉能力の高い弁護士や司法書士が担当してくれることが5年の返済期間の合意を獲得できるのです。 あくまでケースバイケースで結論が異なることを前提にしておく必要があります。
任意整理後の債務返済期間中の知っておくと良いこと
支払いに遅れない
任意整理を行う場合、弁護士や司法書士に支払う費用に頭を悩ませる人も少なくありません。 そもそも任意整理はお金に困っている人が行うものですから、多くの法律事務所では依頼人の経済状況を考え、分割払いに対応しています。 しかし、ここで気を付けたいのがその支払い方法です。 専門家費用の支払いを滞納してしまうと、「お金にルーズな人だ」「返済計画を守れない人だ」と判断されてしまい、最悪の場合辞任されてしまうこともあります。 辞任とは任意整理手続きの途中で専門家が降りてしまうことで、手続きを続行できなくなり、新たに依頼を受けてくれる事務所を探さなければならなくなります。 専門家費用の返済は滞りなく行っていくよう、注意が必要です。
繰上げ返済はできる
転職して収入が上った、相続財産を受け取ったなど、返済期間中に経済状況が好転することがあります。 できるだけ早く借金から解放されたい、と繰り上げ返済を検討する人もいます。 繰上げ返済はできるのですが、あまりメリットはありません。 任意整理後の債務は利息がカットされているので、繰上げ返済を行ってもトータルの債務額に変化はないからです。 繰上げ返済によって早期の完済を目指すのであれば、よく考えて行いましょう。 いざというときの備えとして、手元にお金を残しておくのも選択肢です。
任意整理後にブラックリストに登録される期間とは
ブラックリストとは
ブラックリストに載るとローンやクレジットカードの申し込みができなくなります。 ブラックリストとは、金融機関がローン申し込みの際などに行う審査で利用する個人信用情報機関に登録されている情報です。信用情報機関には、滞納や債務整理などの情報が一定期間登録されています。 債務整理は借金返済に困った人を救済する法的措置ですが、債権者側には金融事故となるからです。 載っている情報は、規定の期間が過ぎると削除されるので心配いりません。 期間は行なった債務整理の方法により異なるので注意が必要です。
ブラックリストに載ってしまう期間は5年間
金融事故として扱われる任意整理が、個人信用情報機関に登録される期間は5年間です。 返済が5年以上続いている場合でも、登録されている期間は変わりません。 任意整理を行なった際に気をつけるべき個人信用情報機関は、株式会社日本信用情報機構(JICC)です。 JICCには、3ヶ月以上の延滞や延滞解消に関する情報が5年間登録されています。 任意整理で債権者に減額を申し入れた際も、JICCに登録されるので注意が必要です。ブラックリストとして知られている個人信用情報機関は全部で3つありますが、他の2つには任意整理の情報は登録されません。 ただし、債権者によっては保証会社から代位弁済がされることがあり、全国銀行個人信用情報センター(KSC)では5年間登録されます。 もう一つの個人信用情報機関である株式会社シー・アイ・シー(CIC)に登録されるのは、3カ月以上の滞納があった場合で、完済から5年間は登録されます。 個人信用情報機関の情報は個人でも確認することができます。
ブラックリストに載っている間のデメリット
任意整理後はブラックリストに5年間載った状態になります。 5年間は金融会社にローンやクレジットカードの作成を申し込んでも、審査が通り難い状態になるでしょう。 ブラックリストに載るデメリットは、ローンの申し込み以外にもあります。 スマートフォンや携帯などの商品を分割で購入することはできません。 また、任意整理の際に対象から外したクレジットカードに関しても注意が必要です。 ブラックリストの件を把握したクレジットカード会社には、強制退会を強いる権利があるからです。
まとめ
今回は任意整理の手続きの一連の流れやそれにかかる期間が一体どのくらいなのかということをみてきました。 任意整理を検討している多くの人は初見の方だと思いますので、手続きの流れや期間を把握しておくことは重要です。 また任意整理を行おうと考えている人は、日々の返済に悩んでいる方々がほとんどです。 弁護士などの専門家に依頼をするためにはお金がかかるため、任意整理を行う前にその段取りをしっかりと確認しておくことは非常に大切です。 今回の記事を参考にして、これから任意整理を始めようと思っている方は満一つずつ手続きを進めてみてください。
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