家族や友人が代理人になれる?任意整理を本人以外の人ができるのか

家族や友人が代理人になれる?任意整理を本人以外の人ができるのか

なんらかの理由により、任意整理を本人以外の人が行なければいけない場合があるかもしれません。 その際、任意整理は本人以外の人でも手続きをすることができるのでしょう? また、任意整理を行った時、連帯保証人がいる場合はどのような影響が出るのでしょうか? 今回はこのような本人以外が任意整理する際のポイントや、連帯保証人への影響などを詳しく紹介します。 これを参考にして実践してみてください。

  • この記事を書くにあたって参考にしたサイト一覧
  • みどり法務事務所
  • 法テラス

  • Rlib

  • 任意整理とはどんな手続き?

    任意整理とは、裁判所などの公的機関を介さず、債権者と債務者が直接交渉して、返済方法を検討する債務整理手続きです。 基本的な流れは、取引開始時までさかのぼり「利息制限法」で定められた上限金利15~20%まで金利を引き下げて再計算を行ない、無理の無い返済計画で分割して支払う取り決めを貸金業者との間で結びます。 任意整理では将来金利を免除することを前提に交渉が行なわれるため、実質的な支払額を少なく出来るといったメリットが見込めます。 注意点として、個人信用情報機関に事故情報として掲載されるため、新規の借り入れやクレジットカードの発行が数年間出来なくなります。

    任意整理は基本的に本人以外が行うことはできない

    本人以外は任意整理を行うことができない

    任意整理をする際、注意点として本人以外の人が代理で行うことはできない、ということが挙げられます。 例えば家族のうちの誰かが多額の借金を抱えて返済に困っているということを知った場合など、何とか手助けしてあげたいと思うでしょう。 それにもかかわらず本人が忙しかったり病気などで手続きができないとしたら、自分が代わりしてあげようと考えるかもしれません。 しかし、債務整理を行う時に必要な書類を集めることは本人にしかできないので、実際には本人の承諾なしに代理で任意整理を行うことはできません。

    任意整理の代理人は弁護士か司法書士

    本人に任意整理をする意思がある場合、弁護士や司法書士に代理人を依頼することができます。 弁護士や司法書士は依頼する際は委任状が必要になります。 委任状とは、任意整理の手続きを債務者の代理人として行うことを記した書類です。 委任状には日付、委任者の名前・住所・印鑑、代理人の名前・住所、委任事項を記入して作成します。 また、本人の捺印も必要になります。

    委任状があれば本人以外の家族でも任意整理をすることができる

    また、無報酬である場合に限り、家族が任意整理の代理を行うことも可能です。 この際も、家族と債務者本人との間で委任状が必要になります。 ただし、実際のところ貸金業者は弁護士など専門家以外の場合、まともに相手をしてくれないというのが実状です。 仮になんとか交渉まで持ち込めたとしても、素人では法律で定められた金利以上の利息分を減額する程度のことしかできないでしょう。 特に任意整理の最大のメリットである「将来にかかる利息のカット」は、弁護士や司法書士でなければ話をまとめることは難しいです。 このように委任状を作成することで本人の代理をすることはできるものの、実際には素人が任意整理の交渉をしてもあまり効果がないと言えます。

    本人以外からの代理人の依頼はできない

    委任状があれば弁護士や司法書士に代理人を依頼することができますが、 本人以外の人が弁護士や司法書士に依頼することはできません。 なぜなら、弁護士や司法書士は依頼を受ける際に、債務者本人との面談が義務づけられているからです。 そのため家族や友人からの依頼では、委任状があっても代理人を引き受けることができません。 ただし、相談であれば本人以外の人でも受けることができます。 ですから、本人に任意整理をするように説得するための相談であれば、積極的に弁護士や司法書の専門家に相談してみましょう。

    任意整理は弁護士と司法書士どちらを選択すれば良いか

    弁護士と司法書士の違い

    任意整理を行うと決めた時、専門家に依頼するにも弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきか悩むでしょう。 実際、弁護士と司法書士には大きな違いがあります。 まず弁護士は任意整理の相談は勿論のこと、代理人として貸金業者との交渉や訴訟を代理することが可能です。 加えて、扱える債権額の上限もありませんので、弁護士は幅広い案件を依頼できます。一方司法書士の場合、認定司法書士のみ相談、交渉、訴訟が可能です。 しかも、債権額が一社140万円以下の場合に限ります。 さらに地方裁判所や高等裁判所の控訴審の訴訟代理ができないのが特徴です。

    借金額が140万円以上かどうかで見極める

    任意整理を行う際に、1社あたりの債権額が140万円を超える場合は弁護士に依頼する他ありません。 140万円以下の場合で司法書士に依頼する際には、任意整理以外の債務整理に切り替わる可能性があるかどうかを十分に検討しておくことが重要です。 何故なら、自己破産や民事再生を行う際は地方裁判所に申し立てを行わなければなりません。 司法書士は代理人となることができないため、自分で手続きをしなければいけなくなります。 また、弁護士に切り替えるにしても依頼した時点で費用は発生してしまうので、二重で費用がかかってしまいます。 ですので、司法書士に依頼する場合は140万円以下でそれ以上の額にならないかどうか、個人再生や自己破産をする可能性が低いかどうか、しっかりと見極めることが大切です。

    保証人と連帯保証人の違いを知る

    保証人には連帯保証人と保証人があります。 連帯保証人も保証人も債務者が返済できなくなった際に、代わりに返済する義務がある点では共通していますが、次の点で違いがあります。 保証人には、催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益が認められていますが、連帯保証人にはありません。 催告の抗弁権は、債権者に対しまずは債務者に請求するように主張できる権利です。 検索の抗弁権は、債権者に対し債務者が所有している財産から先に取り立てるように要求できる権利です。 分別の利益とは、保証人が複数いる場合に保証人の頭数に応じて平等に分割された金額分にしか責任を負わなくても良いという権利です。 連帯保証人にはこの3つの権利がありませんので、連帯保証人を引き受けることは、連帯保証人本人が借金することと同じであると言えるでしょう。
連帯保証人は保証人に比べて重い責任が課せられますので、お金の貸し借りの保証人は連帯保証人となっていることがほとんどです。

    任意整理をした際の連帯保証人への影響とは

    任意整理をすると保証人へ請求が行く

    任意整理を行なうと、債権者と主債務者の間では合意すれば債務の返済方法について和解書通りに返済することになります。 しかし、連帯保証人に対しては、債権者は請求出来るので本人との任意整理による和解と関係なく連帯保証人に対しては請求が行われます。 先に見てきたように保証人に対して認められている催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益が連帯保証人には認められていないので、任意整理を行なう際に連帯保証人がいると影響が大きくなります。

    保証人に迷惑をかけないための方法

    債務整理の中でも任意整理は、債権者との任意の交渉となるので、任意整理交渉を行なう債務を選択出来ます。 個人再生や自己破産では、本人の債務を一斉に取り扱う必要がありますが、任意整理では裁判所を介さない債権者との個別交渉です。 交渉する債権者と債務を選択した上で、任意整理の対象とするかどうかを本人の意思により決めることが出来ます。 そのため保証人が付いている債務を任意整理の対象から外すことで、迷惑をかけずに借金を減らすことができます。

    任意整理時に連帯保証人へ請求が行ってしまった時の対応

    任意整理を行なった結果として、連帯保証人に対して債権者から請求が行ってしまった場合には、連帯保証人は支払うしかありません。 連帯保証人に支払う余裕が無ければ、連帯保証人も任意整理を行なうか本人と連名で任意整理を最初から行なっておく必要があります。 任意整理を行うとブラックリスト登録がされてしまうので、信用情報にキズがついてしまいます。 任意整理を行う際に連帯保証人が付いている債務を含める場合には、事前に連帯保証人と相談した上で債務を肩代わりしてもらえる状況か確認が必要になります。 任意整理を始めてから突然連帯保証人へ請求が行ってしまうと、連帯保証人との人間関係が壊れかねないので、事前に相談して最初から連名で任意整理を行なう手配をすると良いでしょう。

    任意整理をした時の家族への影響

    任意整理を行なっても、家族に対して債権者から請求が行くことはありません。 ただし、家族が連帯保証人となっている場合は請求が行きます。 連帯保証人となっている場合は、離婚をしたとしても請求を拒否することはできません。 連帯保証人は家族であることは関係ありませんので、離婚をしても借金を代わりに支払わなければいけません。

    本人が借金を残して亡くなった場合について

    相続人が債務を継承する

    遺産の相続と聞くと、亡くなった本人が所有していた土地や現金といった正の財産ばかりに目がいきがちです。 ですが、正の財産と一緒に借金などの負の遺産も合わせて引き継ぐことが相続です。 もし亡くなった人に借金があれば、法定相続分の割合で分割されて、それぞれの相続人にたいして返済の義務が発生します。 そのため、亡くなった人の遺産を調べる時は借金があるかどうかも調べることが必要です。 借金があるかどうかを調べるためには、自宅に催促の書類や請求書が来ていないかを確認してください。 借金の返済は1ヶ月単位なので、2ヶ月ぐらい経過すれば必ず債権者からのお知らせが来ます。 返済方法には口座からの自動引落というケースもあり、この場合は口座にお金がある限り請求書は来ないので、請求書を待つと同時に信用情報機関への問い合わせも行うようにしましょう。

    任意整理の前に相続放棄を検討する

    亡くなった人の借金を返済したいが金額が多すぎる場合は、任意整理をして借金を減らすことよりも、相続放棄を検討することをオススメします。 相続放棄とは亡くなった人の財産の相続を放棄することです。 相続人から除外されると負の財産を引き継ぐ必要が無くなるのですが、同時に正の財産も相続できなくなるので注意してください。 相続放棄をする場合は、自身が相続人と判明したときから3ヶ月以内に亡くなった人が住んでいたところの近くにある家庭裁判所に出向いて相続放棄申述書を提出します。 このときに相続放棄する人の戸籍謄本、亡くなった人の除籍謄本および出生から死亡までの全ての戸籍謄本、住民票の除票の提出が必要です。 家庭裁判所への申込みを3ヶ月以内に行わないと相続を承認したことになり放棄できなくなるので、申込みはすぐにおこなうようにしてください。 なお、相続放棄は被相続人が亡くなった後でしか行えず、生前に念書や合意書を作成したとしても無効となります。

    過払い金が発生している可能性もある

    亡くなった人の借金を相続した場合は、金額や借金をした時期を必ずチェックしてください。 2007年以前から長期にわたって借金をしていた場合は過払い金を請求できるからです。借金を相続すると過払い金の請求権も同時に引き継ぐことになるため、亡くなった人の代わりに貸金業者に請求することができます。 法定利率を上回る金利で借金をしていれば、支払いが完了していたとしても完済した日から10年未満であれば過払い金の請求が可能です。 過払い金は臨時収入ではないので原則非課税となり、所得税や相続税は発生しません。 相続人が過払い金を請求をする場合は、借金をした本人が請求するときにはない特定の手続きを行う必要がありますので、専門家に相談してから請求するようにしてください。

    まとめ

    任意整理は原則的に本人しか行うことはできませんが、弁護士や司法書士に依頼することは可能です。 またある特定の条件を満たせば、本人以外の家族が任意整理できるケースもありますが、ほとんどの場合で交渉がうまくいかないのでメリットがあまりありません。 手続きを依頼する際は、弁護士と司法書士の違いを理解しておくことが大切です。 140万円のボーダーラインを知っていれば、司法書士に相談できずに困ることもありません。 事前に把握しておけばそれだけリスクを回避できます。 また、連帯保証人がいる借金を任意整理する場合は、連帯保証人に請求が行ってしまう音で注意が必要です。 そのため事前に任意整理することを相談したり、影響を最小限に抑えられるように努力したりすることが大切です。

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